菊池市議会議員に対する市税の賦課徴収に関する調査特別委員会(100条委員会)の委員長報告を掲載いたします。
平成18年度から平成23年度において、過年度滞納つまり年度を越えての
滞納があった市議会議員は合計5名で、滞納のあった市議会議員に対して督促状311通、差押え前の警告にあたる催告書が60通発送されていたことが判明しました。
また、年度を越えての滞納ではないものの、納期限を守らず、現年度滞納で毎年数十通を超す督促状および催告書が送られていた市議会議員がいたことも判明しました。
つぎに、市税を滞納していた議員に対して、菊池市が法令を遵守し、一般市民と同様の公平な徴収業務を行っていたかを調査しましたが、本委員会としては、市議会議員に対して一部特別扱いしていたと判断いたしました。
判断した理由として、
①滞納者に対しては、地区別に担当者がいたにも関わらず、当時の上司が滞納議員の担当となり複数回にわたり自宅に伺っていたこと。
②市議会議員の市税滞納が複数年にまたがり、しかも慢性的に行われていたこと、さらに徴税課において、係長以下の職員は課長に対し、市議会議員の滞納処分を進言していたにも関わらず差押え処分等を行わず、それに伴い100万円を超す延滞金が時効消滅となり、市が徴収すべき債権が失われたこと。
③議員報酬以外からの収入では、市税納付が厳しい状況にあったため、滞納していた議員の家族より、市議会議員の報酬からの差押えを依頼されていたにも関わらず執行しなかったこと。
④平成19年当時の係長が滞納のあった議員への差押えを提案したが、上司が係長を市長室まで連れて行き、差押えの延期を市長が判断した。なお、その当時において、一般市民の差押えのために市長へ相談し、判断した例は1件もない。
⑤平成22年当時の課長の証人訊問において、「市議会議員への徴収に対し、今振り返ると私的な考えで公平性に欠けていた」と証言していること。
⑥平成24年に市議会議員の市税滞納疑惑が市民の間でささやかれるようになってからの納税は定期的にされており、滞納していた議員に担税力、つまりは税を納める能力があったことに他ならない。市が法令を遵守し徴税業務にあたっていれば、多額の延滞金を時効消滅させることは無かったこと。以上、6点の理由により極めてずさんで、公平な納税をゆがめかねない徴税業務が長年にわたり行われていたと判断しました。
つぎに、平成19年度から平成22年度まで税務課総務審議員(課長級)および徴税課長を務めた元職員については、2度の証人訊問の要求を行いましたが、6つの病状により自宅療養および通院加療が必要との診断書が提出され、不出頭でした。
最後に、市議会議員は、予算審議において徴収率および滞納額をチェックする立場にあり、さらに報酬を市民の税金から支給されていることを考えると、納税についても市民の手本となるべきであり、いかなる理由があろうとも市税滞納は許される行為ではないとの委員会の判断であります。
平成18年度から平成23年度において、菊池市は最も公正であるべき徴収業務において、納税誓約書を取っていなかったり、多額の延滞金が時効消滅となるなど、一部不適切な処理により市民の信頼を大きく失うこととなりました。
これまでの市議会議員への
徴収業務に対する議会での指摘については、「法令を遵守し適正に行っている」と答弁されてきましたが、複数年にわたる市議会議員の滞納を承知していながら上記のような答弁を繰り返されていたことは、誠に遺憾であります。これを受けて市長からは、納税者である市民の信頼を損なうことのないよう、地方自治法や地方税法等の諸法令の規定に基づき、市税等の賦課徴収業務にあたって何人に対しても公平公正に行うこと。法の趣旨を正しく理解し、職員の資質向上のため、知識・技能の研鑽習得に努めるとの再発防止策が提出されました。
以上のことを踏まえ本委員会としては、
①本委員会の報告書を「広報きくち」に全文掲載するなど、市民に対し正確な情報を公表し、納税に対する信頼回復に全力で努めること
②本委員会において発覚した件について厳正に対処すること
以上を執行部へ求めることとして、本委員会の委員長報告といたします。